「思考のループは、脳の疲れのサイン」
という前回の記事の続きです。
なぜ、
頭では「やった方がいい」とわかっているのに、
体がついてこないのでしょうか。
こんなこと、ありませんか?
- ノートや手帳には「やりたいこと・やることリスト」がぎっしり
- どう動けばいいかも、頭ではちゃんとわかっている
- 「今日はこれをやろう」と決めたのに、気づけばSNSや他のことで1日が終わっている
- 夜になると、「また今日もできなかった…」と自分を責めてしまう
そして、心のどこかでこうつぶやいてしまう。
「私って、意志が弱いな…」
「やっぱり私は、ダメなんじゃないか」
もし、こんな感覚が少しでもあれば、
今日のテーマはきっと役に立つと思います。
動けないのは「やる気がない」からじゃない
まず一番お伝えしたいのは、これです。
「動けない=やる気がない」ではありません。
多くの人は、
- 行動できない
- 先延ばしにしてしまう
- 三日坊主で終わってしまう
というときに、すぐに「自分の性格」のせいにしがちです。
でも、実際には
- 脳が疲れきっている
- 自律神経がずっと“警戒モード”になっている
- 過去の体験からくる「からだの記憶」がブレーキを踏んでいる
という “からだ側の事情” が重なっていることが、とても多いのです。
人は「考える前に、もう感じている」
- まず、からだが先に反応する
- ドキッとする
- 胸がキュッと固まる
- お腹がギューッと縮む
- その反応をあとから頭が「意味づけ」する
- 「怖いな」
- 「失敗したらどうしよう」
- 「また嫌われたらイヤだな」
- そして最後に「行動」が決まる
- やめておく
- 先延ばしにする
- 別のことを始めてしまう
つまり、
先に動いているのは“感覚(からだ)”で、
そのあとに“思考(考え)”がくっついてくる
ということなんです。
だから、どれだけ頭で
- 「大丈夫、大丈夫」
- 「やればできる」
と言い聞かせても、
からだのほうが「危険かも」「イヤな記憶がよみがえりそう」と感じているあいだは、
ブレーキが外れにくいのです。
ここが、
「考え方を変えようとしてもうまくいかない」
と感じている人が、ずっと引っかかっているポイントでもあります。
行動を止めているのは「脳とからだのブレーキ」
やろうと思っているのに動けないとき、
脳とからだの中では、こんなことが起きています。
- 新しいことをしようとすると、過去の失敗やイヤな記憶がうっすらよみがえる
- それに反応して、胸やお腹がキュッと固くなる
- 体が「また傷つくかもしれない」と判断して、無意識でブレーキをかける
- 結果として、「やらない」「今日はやめておこう」という選択になってしまう
ここで大事なのは、
行動しない私」は、怠けているというより
“からだが守りに入っている私”
と言ったほうが近い、ということです。
からだは、いつもあなたを守ろうとしています。
ただ、その守り方が「今のあなたの望み」と合っていないだけなのです。
「体に溜め込んだ感情」が、今のブレーキになっていることも
本当は悲しかったのに、笑ってごまかした。
本当は怒りたかったのに、「私が我慢すればいい」と飲み込んだ。
そうやって“なかったことにした感情”は、
どこかに消えるのではなく、
体に「感情のゴミ」のように残り続ける
と言われています。
- 胸のざわざわ
- みぞおちの重さ
- お腹の緊張
- 首や肩のガチガチ感
こうした感覚の中に、
過去の記憶や感情が「からだの記憶」として刻まれていることが、少なくありません。
そして、新しい一歩を踏み出そうとしたとき、
この“からだの記憶”が反応して、
「またあのときみたいに傷つくかもしれない」
「失敗して恥ずかしい思いをするかもしれない」
と、無意識にブレーキをかけてしまうのです。
自分を責める前に、「脳と内臓」を疑ってみる
だからこそ、動けない自分に対して、
- 「私は根性がない」
- 「やる気が足りない」
- 「他の人より劣っている」
と責める必要はありません。
責める前に、こう問いかけてみてほしいのです。
「もしかして今、
私の脳と内臓が“これ以上傷つかないで”と守っているだけかもしれない?」
この視点を持てるだけで、
少しだけ自分を見る目がやわらかくなります。
その“やさしいまなざし”こそが、
脳と神経の緊張をゆるめ、行動のエネルギーを取り戻していく第一歩になります。
まずは「動けない自分」を責めるのを、少しお休みしてみる
今日お伝えしたかったことは、たったひとつです。
動けないのは、あなたが弱いからではない。
からだと神経が、ずっとあなたを守ろうとしてきただけ。
「私はダメだから動けない」のではなく、
「私のからだが必死で守ろうとしていたんだ」と見方を変えてみると、
胸の奥の「キュッ」とした感じが、少しだけゆるむかもしれません。
次回は
人がどんな順番で動いているのか、
「感じる → 考える → 行動」 という
体と脳の自然な流れについてお話しします。
👉 次の記事
「感じる → 考える → 行動。
人は“感覚から”動いている。だから感覚を整えると生きやすくなる」
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